第1章 大切なのは、「何者でもない自分」を受け入れて、楽しむこと
定年までのファーストステージで、一定の経済的基盤を築いた人なら、人間関係、経済面でそれなりの苦戦は強いられたとしても、セカンドステージ、70代、80代でも苦戦の程度はある意味で限定的といっていいかもしれません。
しかし、生きていくために、70代、80代はおろか、その後も可能な限り働かなければならない人もいます。
最近、『交通誘導員ヨレヨレ日記』(三五館シンシャ刊)という本を読みました。
ベストセラーになっていると聞きました。
著者は、バブル期には小さな会社を経営していた人です。
絶頂期には一般サラリーマンの数倍の収入があり、リッチに暮らしていました。
かなりの蓄えもあったようです。
しかし、バブルの崩壊とともに業績が急降下すると生活は一変。
60歳半ばで、蓄えをなくしてしまいます。
それどころか、バブル時代に覚えた競馬、骨とう品集めの失敗もあり、借金を抱えてしまい。破産状態になります。
これでは生きていけないと、キャリアを生かせる仕事を探しますが、元社長でもうすぐ70歳では、面接まではこぎつけても採用までには至りません。
途方に暮れた著者は、「人生仕切り直し」とばかりに、交通誘導員になります。
本のサブタイトルは「本日も炎天下、現場に立ちます」。
帯には「誰でもなれる」「最底辺の仕事」という文章があります。
私も車を運転して移動する機会が多いのですが、道路工事の現場、ビルの建築現場などで交通誘導員の人を見かけますが、本を読んでみると、真夏日、酷暑の日を問わず、工事車両、一般車両、歩行者の誘導、さらにはトイレ探しなど、仕事の過酷さがうかがえます。
また、施工業者の人、雇い主である管理会社の人、交通誘導員の先輩、同僚との人間関係の難しさも伝わってきます。
とくに、現場によって変わる先輩、同僚、後輩は「誰でもなれる」のせいか、一筋縄ではいかない人が多いようです。
本の紹介が長くなりましたが、著者はこの中で、仕事を続けるためには、自分の学歴、キャリアなどは一切口にせず、愚直に与えられた職務をこなすことだと綴っています。
つまり「何者でもない自分を受け入れる覚悟」ということでしょう。
職種がなんであれ、これは、セカンドステージでの働き方の基本であるように思います。
ただし、これは決して悲惨なことではありません。
なぜなら、これは新しい自分を構築するチャンスでもあるからです。
はじめての職場では、吸収しなければならない情報の入力、教えを乞う過程でのコミュニケーションなど、脳を悩ます作業が必要となりますが、これは結果として脳の活性化を助けます。
また、新しい人間関係の中で得られる情報、そして喜びも少なくありません。
ちなみに、『交通誘導員ヨレヨレ日記』の著者を知る編集者の話では、著者が親しくなった同僚の中には、元大学教授、元医者、元弁護士などもいたそうです。
セカンドステージを、ハツラツ脳を維持しながら快適に過ごすためには、「何者でもない自分」をポジティブに受け入れることが求められます。
「いつまでもハツラツ脳の人 より」
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最近、電車の中でキレる人を見かけます。
少し前までは、電車の中で暴れるのは酔っぱらいか、普段から暴力的な人と相場が決まっていました。
でも、最近は違ってきています。
しかも、普段はおとなしく、礼儀正しい人なのに、ついカッとしてキレてしまったという人がとても多いのです。
受けたストレスをコントロールすることができず、感情を爆発させ、普段では決してしないような行動をとってしまう、これがいわゆる「キレる」という状態です。
この「キレる」という行為、原因を簡単に言うと、「ストレス」です。
これはまさに「セロトニン神経」の機能低下が原因だと考えています。
セロトニンは脳に静かな覚醒をもたらします。
これは別の言い方をすれば「平常心」をもたらすということでもあります。
平常心を保つというのは、脳の切り換えがスムーズに行われ、どこも暴走も興奮もしていない状態のまま、スムーズに働いているということです。
セロトニン神経の機能が低下すると、感情や精神状態を普段の冷静な状態にキープすることが難しくなることは充分に推測できます。
そしてこのことは、キレる人が朝の満員電車よりも、夜の帰宅時に多いということからも証明されます。
イライラしやすいときは、脳の神経伝達物質であるセロトニン、アセチルコリン、ドーパミンなどが不足していることが考えられます。
そのため、これらの材料となるアミノ酸と、アミノ酸を取り込むために必要な糖分やビタミンB12の不足を疑ってみましょう。
脳を酷使するときには、たくさんのビタミンB群が消費されています。
B群は脳の働きに重要な役割を担っているのです。
神経の働きを整えたり、傷んだ神経を補修したり、タンパク質をドーパミンやセロトニンといった神経伝達物質に作り替えるなど、「脳力向上」のためにもB群は欠かすことができないのです。
ビタミンB12について?