第5章 「ハツラツか、ヨボヨボか」を男性ホルモン値で知る
心臓ドックと同様に欠かさず受けているのが血液検査です。
その主な目的は男性ホルモン値を確認すること。
やや大げさにいうと私にとって最大の“健康指数”は「男性ホルモン値」といっても過言ではありません。
なぜ男性ホルモンの値なのか――。
その答えはじつに明解で、男性ホルモンこそが生きる意欲を大きく左右する要素だからです。
この数値が低くなると多くの心身の障害を起こし、とくにヨボヨボ脳になるリスクが高まります。
年齢を重ねるごとに私たちはさまざまな能力が減退してきます。
足腰をはじめとする筋力、気力や集中力を左右する精神力、その他視力、聴力、咀嚼する力など、数えあげたらキリがありません。
その中で最も警戒するのは「意欲の衰え」です。
人間の心を司っているのは大脳ですが、臨床医しての経験からすると、最も早く老化するのは大脳の中の前頭葉です。
前頭葉は脳の中で最も早く成長し、最も早く老化します。
非常に早熟な組織であり、若い人が新しい事柄に次々と興味を持つのは、前頭葉の“なせるワザ”なのです。
しかし、前頭葉の機能が落ちてくると意欲や気力、創造力、さらには判断力も低下してきます。
「面倒くさい」「興味がない」「楽しくない」の3つの「ない」が常態化し、生きるすべてのことに意欲をなくしてしまいます。
まさにヨボヨボ脳になる前兆です。
これに追い討ちをかけるのが男性ホルモンの減少です。
男性ホルモン低下の影響は性的なことにかぎりません。
他人と会うのが億劫になったり、新しいことに興味や意欲をなくしたりするのは、男性ホルモンの減少が深く関わっていることが明らかになっています。
男性の場合、早い人は30代から男性ホルモンの減少が確認されています。
30代で妙に老成した雰囲気を出す男性がいますが、もしかしたら男性ホルモンの少なさが原因かもしれません。
そんな中世的な男性に好意を持つ女性がいますが、注意を要するべきは男性の更年期障害です。
ヨボヨボ脳の人を待ち受ける更年期障害
近年、男性の更年期障害は増加傾向にあり、心療内科を受診する男性の数が以前より増えている印象があります。
男性の更年期障害は女性に比べて気づきにくいケースが多く、症状が悪化すると、うつ病になりかねません。
男性ホルモンの値を調べることは、心の病の重症化を予防するためにも重要なのです。
女性の場合は閉経後、女性ホルモンが減少し、男性ホルモンが増えることがわかっています。
旅行先やホテルのレストランなどで会話を楽しみながら食事をしているグループの大半は女性です。
新しい趣味に挑戦したり、ボランティア活動に積極的に取り組んだりするのも女性に多いような気がします。
そんな「女性元気」の理由の一端は男性ホルモンが関係しているのです。
男性ホルモンの減少は男性の外見とも関わってきます。
下腹がボテッとした中年太りや猫背の体型も男性ホルモンが少なくなったことが原因と見られています。
「元気がなさそうに見えて、話をしても面白くない」人に、人は寄ってきません。
異性同性を問わず、ヨボヨボ脳の人に魅力は感じないのです。
反対に話が面白く、明るい雰囲気の人に人が集まってきます。
そんなハツラツ脳の持ち主には、男性ホルモンの豊かな人が多いのです。
「いつまでもハツラツ脳の人 より」
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血管力を高める食事は、炭水化物(糖)、塩分を少なめに、HDLコレステロール値を上げる食材を選ぶのが基本です。
これに外せないものが、たんぱく質を十分に摂る食事を心がけることです。
血管はアミノ酸、たんぱく質とコレステロールなどの脂質によってつくられます。
アミノ酸は普通の食事をしていれば十分にとれるので、動物性たんぱく質を意識しましょう。
たんぱく質はとくに血管中膜の結合を強くします。
動脈壁そのものを強くするので、脳出血などを防ぎます。
各栄養素にはそれぞれ役割があり、互いに作用し合って初めて「栄養」として働きます。
多種類の栄養素が機能を発揮し、効率よく利用されるしくみがヒトの体には整っています。
たとえば、糖質がエネルギーに変わるにはビタミンB群などが必要で、ビタミンB群が活性化するには各種のアミノ酸やミネラルが必要、…というように、栄養素を利用するにはほかの栄養素の働きが不可欠です。
よく、ヒトは1人では生きられないといいますが、栄養素もひとつだけでは機能しません。
ビタミンB群とは、体に入った栄養成分をエネルギーに変えるときに不可欠なビタミンの仲間です。
8種類すべてが互いに協力しあって体のエネルギーを生み出す働きに関わっているため、一緒にバランスよく摂ることがとても重要なのです。
ビタミンB12について?