第7章 「マスク生活」で衰えた筋力を取り戻す
コロナ禍での生活といえば、象徴的なのはマスクでしょう。
ただし、ここで取り上げるのは感染対策としてのマスクの有効性ではありません。
マスクを長くしていたことにより、私たちにどんな変化、弊害があったのかを理解する大切さを語っています。
じつはコロナ禍の生活が1~2年経過した頃から50代以上を中心に「自分はALS(筋萎縮性側索硬化症)ではないか」「パーキンソン病ではないか」といって病院に来られる方が増えました。
理由は「口元が緩んでよだれが垂れやすくなった」「周囲の人から表情がなくなったといわれる」「滑舌が悪くなった」などです。
たしかに、こうした症状はALSの典型で心配になるのも無理はありません。
しかし、検査をしてみるとそんなことはまったくない。
いろいろ確認してみると、多くはマスクの弊害でした。
マスクをしているとどうしても口を動かす機会が減ります。
動かすとしても、無意識に小さな動きになっています。
すると、表情筋や口の周りの筋肉が衰えて、うまく表情がつくれなくなったり、滑舌よく話せなくなってきます。
さらに、口元の筋肉がゆるんでくるのでよだれが垂れやすくなります。
思わぬ形でマスクの弊害を目の当たりにして最初は驚きましたが、考えてみれば当然のことばかりです。
まず理解してほしいのは、マスク生活をしていたすべての人にこの症状が多かれ少なかれ現れるのは当然ということ。
「自分は病気なんじゃないか」と過度に心配することは自律神経を乱し、それこそコンディションを崩します。
私たちは今、コロナ禍の影響をまだまだ体の中に溜め込んでいる時期です。
過剰に心配するのではなく、丁寧にリカバリーしていくことが大切です。
「はじめる習慣 より」
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人の体の老化は20代ごろから始まります。
老化は生きている以上避けられないものですが、何をどう食べるかで進行程度が変わってきます。
30代では個人差はさほどありませんが、40歳を過ぎて中年期に入るころからだんだん差が生じ、65歳を過ぎて高年期に入ると、健康状態にはっきりとした差が出ます。
健康寿命をのばす食生活に加えて、年代別の食べ物・食べ方に気をつけると、病気予防がいっそうアップします。
動脈硬化は年齢とともに発症しやすくなり、50代になるとほとんどの人(女性は60代から)に動脈硬化が見られるようになります。
脳梗塞は、高血圧や糖尿病などの病気が原因となったり、生活習慣などによって血液がドロドロになって血液循環が悪くなったりして、血管が厚く狭くなり、脳の血管が徐々に詰まって進行していきます。
一般的に、脳梗塞の初期には、大きさ数ミリ程度の微小な梗塞が数個出現し、段階をへるごとにこの梗塞が脳のあちこちに見られます。
このような症状のないごく小さな梗塞が隠れ脳梗塞(無症候性脳梗塞)です。
「隠れ脳梗塞(無症候性脳梗塞)は、早い人だと30代からあらわれ、40代を過ぎると急に増加するといわれています。
脳梗塞をはじめとする脳血管障害を生活習慣病の一つととらえ、ふだんから健康に保つ生活を心がけましょう。
血管は「酸化」していくことで傷ついていきます。
たとえば、悪玉コレステロール(LDLコレステロール)が動脈硬化の原因になるということを聞いたことがあるかもしれません。
LDLコレステロール(以下LDL)が血管にへばりついて、プラークと呼ばれるこぶを血管の壁に形成していくのです。
ビタミンB12やB6、葉酸の吸収が悪くなると、ホモシステインという老化物質が増え、動脈硬化を生じることもわかっています。
ビタミンB12について?