私たちには「切替脳」が備わっている

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私たちには「切替脳」が備わっている
 
ストレスとの関係でセロトニンの大切な役割は、気持ちを切り替える作用があることです。
 
「切替脳」と読んでいますが、私たちの脳には、「反応抑制」といって衝動性をコントロールする部分があるのです。
両側のこめかみの部分の内側「前頭前野腹外側部」にあります。
 
困難なこと、嫌なことが起こって、「もう、それに対応できない」と思うようなことがあっても、生きている限り現実的には対処せざるを得ません。
そして、人間には、そうしたことに対処するために切り替える脳力があるのです。
 
日常的に、いろいろなことに直面して、私たちの感情は揺れ動きます。
さまざまなストレスを絶えず受けています。
一時的な激しい感情を引きずることなく、ほとんどのストレスを何とか発散して、私たちが日常生活を送ることができるのは、気分を切り替える「切替脳」が備わっているからです。
 
そこにセロトニンが絡んでいるのです。
セロトニン前頭前野全体に行きわたるのですが、ことに、この「切替脳」である「前頭前野腹外側部」において、たくさん分泌されます。
セロトニン神経からセロトニンがきちんと分泌されていれば、「切替脳」がスムーズに働きます。
セロトニンは、切り替える能力をスムーズに発現させる「潤滑油」なのです。
 
ですから、セロトニンの分泌が十分でなくなるような生活習慣をしていると、「切替脳」がうまく働かなくなってしまいます。
 
悲しいことがあって、いつまでもその感情に引きずられていては、うつになり、何もやる気が起らない、できないということにもなりかねません。
また、「あのとき、ああしていれば」「こうしていれば」などと、いつまでも過去の出来事にこだわっていて、くよくよと考えていたら、日々の生活に支障をきたすことになります。
こうした「とらわれ」は、切り替える能力がないからです。
 
また、怒りの感情をうまく切り替えることができず、腹を立てて周囲に怒りをぶつけていたら、みんなから恐れられたり、嫌われたりすることでしょう。
怒りが高じてキレて暴力をふるうことにもなりかねません。
あるいは、その攻撃性が、自分に向かうと、うつになったり、自傷行為や自殺にまで至りかねません。
 
ノルアドレナリンが分泌されることで、危険などに対処することができるのですが、そのストレスが強く、長く続くと、体や心にさまざまなトラブル、病気を引き起こしてしまいます。
 
ドーパミンがうまく働いてくれて適切なストレスであれば、自分の夢や欲望をかなえるためのエネルギーになります。
そのために勉強したり仕事を頑張ることができます。
 
しかし、夢や目的がかなわなかったときには、挫折してしまい、やる気力を失って、現実に対処することができなくなってしまうかもしれません。
 
いずれにしても、気持ちを切り替えることが必要になります。
 
ドーパミンノルアドレナリンも、過剰にならず、あるいは少なくなりすぎずに、適度に分泌されて適度に働いてくれるのがいい状態です。
もし、バランスがとれなくなったら、気持ちを切り替えることが必要です。
 
ノルアドレナリンドーパミンの双方に対して、暴走にブレーキをかけて、気持ちを切り替えて心を安定した状態に戻すのが、セロトニン神経の役割なのです。
「心も脳も元気になるストレス整理術! より」
 
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神経伝達物質の材料になる成分を補うことが大切です
仕事がたまっていたり、疲れていたりするときに、自分の思いどおりに物事が進まないと、イライラしやすくなります。
また、つねにイライラしやすく、状況によってキレやすくなるという人もいます。
こうしたイライラの原因は、脳の神経を伝達する機能の低下によって、脳の緊張・興奮状態が過剰になっているのではないかと考えられています。

脳には無数の神経細胞があり、その神経細胞の末端からセロトニンアセチルコリンドーパミンなどの神経伝達物質を放出しています。
それらによって次の細胞に情報を伝えていき、それが網の目のようにいっせいに行われることで、情報が瞬時に伝わり、手や足などの末端まで伝達されていきます。
しかし、その伝達情報がうまくいかないと、脳が興奮して抑制が効かなくなり、イライラしたり、落ち着かなくなったりします。
イライラしやすいときは、脳の神経伝達物質であるセロトニンアセチルコリンドーパミンなどが不足していることが考えられます。
そのため、これらの材料となるアミノ酸と、アミノ酸を取り込むために必要な糖分やビタミンB12の不足を疑ってみましょう。
 
◆ビタミンB12とは…?◆
ビタミンB12の研究初期は、ビタミンB12といえば悪性貧血、悪性貧血といえばビタミンB12といわれました。
しかし、現在のビタミンB12は、神経ビタミンとしての認識が一般的となっています。
末梢神経の不調 ―手足の痺れ・麻痺・痛みなど― はもちろん、中枢神経 ―脳・脊髄― の機能低下にも有効であることが明らかになっています。
 
近年、日本人の死因の上位占めているガン・心筋梗塞・脳血管系の疾患、そして高血圧症などの生活習慣病の多くは、戦後、日本人の食生活が欧米化し、動物性食品を多くとるようになったことに起因すると言われています。
 
長寿のためには、動物性食品を控えた方が良いという事ですが、動物性食品を摂らないことからビタミンB12を摂取できなくなる恐れがでてきます。
ビタミンB12を摂取できないことで、脳のビタミンとしての作用が欠落してしまうという深刻な問題も起きています。
 
ビタミンB12は、肉や魚介類、卵、乳類などの動物性食品には多く含まれますが、原則として植物性食品には含まれません。
植物性でも例外的に、納豆やみそなど発酵食品、のりなどの海藻に含まれます。
 
ビタミンB12は腸で吸収されます。
しかし、その前に胃の内因子と結合することで吸収される状態を作っているため、胃を切除している人などの場合は、胃の内因子なしで吸収されるために大量のビタミンB12を補給する必要があります。
胃の粘膜が萎縮している人や、胃の働きが弱い人も同様です。
 
ビタミンB12は、脳からの指令を伝達する神経を正常に働かせるために必要な栄養素です。
十分にあると、集中力ややる気が高まり、不足すると、神経過敏などの症状が起こりやすくなります。
また、脳や神経と関連が深く、不眠症にも効果があるといわれています。
 
ビタミンB12について