心配な「もの忘れ」と心配ない「もの忘れ」

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心配な「もの忘れ」と心配ない「もの忘れ」
脳内エネルギー不足から最近の記憶が脳に刻まれない
 
「もの忘れ外来」をやっていて、いちばん多い「もの忘れ」の訴えが「俳優さんの名前が出てこない」「今、何か言おうとしたが忘れてしまった」です。
 
こうした「のど元まで出かかっているのに出てこない」時は、とてももどかしですよね。
どうしてでしょうか?
 
それは、本当に忘れているのではなくて、答えが頭の中にあることを自分でも分かっているのに、それがうまく取り出せないからイライラするのです。
それが証拠に、ふとした拍子に思い出したり、ヒントがあれば思い出したりできますよね。
 
これは心配ない「ど忘れ」のことが多いです。
人や物の名前がとっさに出てこない「ど忘れ」は、年をとれば多くなるのは仕方のないこと。
 
これは、老化現象だけが原因ではありません。
年齢を重ねると、脳の記憶の倉庫に入っている人や物の名前が非常に多くなっています。
莫大なデータの中から、タイミングよく、ひとつの情報を引き出してくることは難儀なことなのです。
 
70歳の方が2万人の知り合いの中からひとりの名前を取り出してくるのと、5歳の子どもが20人の友達からひとりの名前を思い出すのとでは、どちらが労力を要するかということです。
 
生活に支障がなく、本人が自覚している「ど忘れ」の場合は、心配はありません。
 
それに対して脳内エネルギーの欠乏の兆しがある「“心配な”もの忘れ」とはどのようなものでしょうか?
 
脳内エネルギーの欠乏状態から生じる「もの忘れ」は、身のまわりで起こった新しい出来事が頭に入らないタイプのもの。
これは、脳の引き出しから記憶をうまく取り出せない「ど忘れ」とは異なり、新しい記憶自体がつくられなくなる、「“心配な”もの忘れ」なのです。
 
脳内エネルギー欠乏していては、新しい出来事の記憶をつくることができません。
「友人と約束したことを、すっかり忘れてすっぽかしてしまった」「妻と映画を観に行ったこと自体さっぱり覚えていない」とか。
 
これらは身近な出来事の記憶をつくることができない「もの忘れ」で、日常生活にも支障をきたし、まわりから見ても「おかしい」と気付かれます。
 
セロトニンが不足する「S欠乏脳」の場合は、頭がボケーッとして注意力や集中力の低下が続いています。
そのため、対人関係でのコミュニケーションが“上の空”になり、生活に必要な記憶すべきことが記憶できなくなります。
 
アセチルコリンが不足する「A欠乏脳」でも注意力や集中力が低下します。
「A欠乏脳」の場合はさらに、海馬の働きである記銘力(見たり、聞いたり、経験したことを頭に残す能力)自体の働きも低下します。
「もの忘れとウツがなくなる「脳」健康法 より」
 
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木枯らしと孤独が骨身に染みる秋が深まるとなんとなく悲しい気持ちになるといわれていますが、はたして秋の物悲しさには医学的な根拠はあるのでしょうか?

 なんと季節の変化が引き起こすうつ病が存在するというのです。
エアコンの使用が一般的になり夏に体が冷えてしまうなど季節の変化に対応しにくくなった現代人。
季節性うつは自然な生活リズムを崩してしまった人がかかりやすい病気なのだそうです。

 「なかでも10月から3月頃にみられる冬季うつは、過食、過眠なども主な症状としてあげられます。秋になり日照時間が短くなることで、メラトニンというホルモンの分泌に異常が起こり体内時計が狂ったり、神経伝達物質セロトニンが減ることによる脳の活動低下が原因と考えられています」

 うつ病は、今やサラリーマンの3割近くに見られ、「心のかぜ」ともいわれるほどポピュラーな病気になりました。
原因としては、精神的なストレスのほか、コンピューターによるテクノストレスや、テレビやゲームなどによる眼精疲労などが元になることもあります。
 
また、脳内の神経伝達物質であるセロトニンノルアドレナリンが減少したり、視床下部や下垂体といった脳の機能の異常なども、原因として考えられています。
 
不足している栄養素がないよう食生活の乱れに注意したり、パソコンなどを使いすぎないように気をつけたりといった、生活全般を見直してみることが必要です。
 
うつ症状の予防や軽度の場合の改善に役立つのは、ハーブの一種であるセントジョーンズワートです。
有効成分のぺルリフォリンに、脳内の神経伝達物質セロトニンを増加させる働きがあるため、おちこんだ気分を回復して、気持ちを適度に高揚させてくれます。
 
そのほかには、神経伝達物質セロトニンの材料となるトリプトファンや、セロトニンなどの生成に必要なビタミンB6・B12葉酸などのビタミンB群を補給します。
 
トリプトファンアミノ酸の一種で、牛乳や肉(赤身がいい)などのたんぱく質に含まれています。
ビタミンB6は、かつお、まぐろ、さけなどの魚類、牛肉、鶏ささ身、レバーなどに多く含まれています。
ビタミンB12はレバーや魚介類に、葉酸はレバーのほか、菜の花、モロヘイヤ、春菊など緑の濃い野菜に多いです。
また、イチョウ葉に含まれるギンコライドやケルセチンなどのポリフェノールは、脳の血液循環をよくして、脳を活性化します(お茶などでとるのがおすすめです)
 
 加えて、散歩など屋外で体を動かす機会を増やすと、気分のおちこみを軽減しやすくなります。
 
 ただし、軽度のおちこみだけでなく、うつの症状がみられるときは、まず病院で検査を受け、治療と並行して、これらの食事療法を行ってください。
 
ビタミンB12は、脳からの指令を伝達する神経を正常に働かせるために必要な栄養素です。
十分にあると、集中力ややる気が高まり、不足すると、神経過敏などの症状が起こりやすくなります。
また、脳や神経と関連が深く、不眠症にも効果があるといわれています。
 
人間の体質改善は約3ヶ月程度が基準となっているため、続けなければ効果が得られません。
日常の生活習慣や生活環境を改善するとともに栄養面を改善することが大切です。
 
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