ATP(アデノシン3リン酸)が不足してくると認知症を呼び寄せる

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ATP(アデノシン3リン酸)が不足してくると認知症を呼び寄せる
 
ATPの不足が認知症の根本的な原因?
認知症アルツハイマー認知症と脳血管性認知症レビー小体型認知症、その他の認知症の大きく4タイプに分けられます(ちなみにその他の認知症としては前頭側頭型認知症、若年性認知症などがあります)
 
これらのうち、多数を占めるアルツハイマー認知症や脳血管性認知症に関しては、発症の背景として血管の老化があると考えられます。
 
そして、そうした血管の老化を引き起こしている大きな要因として、老化とともに発生してくるATPの産生能力の低下があると考えています。
 
ミトコンドリアでつくられるエネルギー源
ATPこと「アデノシン3リン酸」は、私たちの細胞が機能するための直接的なエネルギー源となっている物質です。
 
食物から取り入れた炭水化物や脂質を材料として、細胞内のミトコンドリアが複雑な化学反応を経てATPを産生します。
 
ATPは塩基と糖が結合したアデノシンに3つのリン酸が結合した形をしており、多くはエネルギーを内蔵できる化学構造をしています。
筋肉や内臓、あるいは脳や血管などの全身の細胞では、この化学構造の結合を解き、そのときに開放されるエネルギーを使って、あらゆる生命活動を担う「代謝」を行っているわけです。
 
さて、ミトコンドリアがこのATPを産生する化学反応の際には、化学反応を促進させるためのさまざまな補酵素(ビタミンやミネラル)が必要です。
 
しかし通常は、加齢とともに体内に存在するこれらの補酵素は少なくなります。
そのため、食事で材料は十分に補給できていても、ATPの産生量が少なくなってエネルギー不足となりやすいのです。
 
ATPが減ってエネルギー不足になると、血管の状態を健全に維持している血管内皮の細胞でも、新陳代謝や有害な物質の排除の働きが滞り、動脈硬化を促進して認知症の遠因をつくり出すことになります。
 
また、血管に限らずその他の臓器や脳そのものへも、ATPの不足は大きなダメージを与えます。
 
脳は、全身の臓器が使うエネルギーの総量のうち、およそ20%をもまとめて使ってしまう大食らいの臓器です。
そのため高齢になってエネルギー不足が慢性化してくると、次第に脳へのダメージが蓄積していきます。
 
若いころにはたくさんのエネルギーを使い、脳の内部でも遠くの神経細胞同士で情報のやりとりをしていたものが、エネルギー不足が続くと、近くの神経細胞とだけやりとりをする「省エネ型」の脳に変わっていきます。
 
この状態が続くと、しだいに脳の機能が低下し、前・軽度認知障害や軽度認知症の段階を経て、最終的には認知症へとつながっていくと考えられるわけです。
 
■ビタミンやミネラルの補給でアンチエイジング
こうしたATPの産生能力の低下と、それに伴う全身の細胞の機能低下こそが「老化」の正体である、と考えることもできるでしょう。
 
であれば老化を防ぐことで、つまりアンチエイジングを心がけることで、認知症を予防することにもつながると考えられます。
 
ATPの産生を助ける補酵素サプリメントなどで補充することで、ある程度認知症の予防を狙えるというのは、こうしたATPの不足と細胞の老化の仕組みを念頭に置いたアイデアです。
認知症予防トレーニング「認トレ」一生ボケない!38の方法 より」
 
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脳には無数の神経細胞があり、その神経細胞の末端からセロトニンアセチルコリンドーパミンなどの神経伝達物質を放出しています。
それらによって次の細胞に情報を伝えていき、それが網の目のようにいっせいに行われることで、情報が瞬時に伝わり、手や足などの末端まで伝達されていきます。
しかし、その伝達情報がうまくいかないと、脳が興奮して抑制が効かなくなり、イライラしたり、落ち着かなくなったりします。
 
イライラしやすいときは、脳の神経伝達物質であるセロトニンアセチルコリンドーパミンなどが不足していることが考えられます。
そのため、これらの材料となるアミノ酸と、アミノ酸を取り込むために必要な糖分やビタミンB12の不足を疑ってみましょう。
また、脳の唯一のエネルギー源であるブドウ糖が足りなかったり、神経伝達物質を放出するときに働くカルシウムが不足したりしているのも原因のひとつと考えられます。
 
一般にビタミンB群は、一つが欠乏するときには他のビタミンも欠乏していることが多いのです。
もちろん、すべてのビタミンが老化防止に必要であることはいうまでもありませんが、B類のビタミンB12、B6葉酸は老化を防ぐうえでも、もっとも重要なビタミンとされます。
 
現在60歳以上の高齢者の二割の人に、ビタミンB12の欠乏が見られるということです。
これは年をとると胃の機能が低下し、内因子の分泌が低下するからです。
 
また、高齢者が理由のはっきりしない神経症状を呈したら、ビタミンB12の欠乏を考えるべきだという学者もいます。
 
ビタミンB12は、肉や魚介類、卵、乳類などの動物性食品には広く含まれますが、原則として植物性食品には含まれません。
ただし、おもしろいことに、納豆やみそ、たくあんなど、日本に古くからある保存食には、植物性でも例外的にビタミンB12が含まれています。
これは、発酵の過程でビタミンB12が作られるためと考えられます。
 
ビタミンB12には、脳の血流をよくするとともに、脳神経の働きを改善あるいは促進する作用があります。
同時に、動脈硬化の原因となるホモシステイン活性酸素(ふえすぎると体に害を及ぼす非常に不安定な酸素)を除去する働きも持っています。
ビタミンB12が効果的に作用するには、ビタミンB12単体ではなく葉酸など他のビタミンB群と一緒に摂取することが望ましく、また、ビタミンB群はバランスよく摂ることで相乗効果を発揮します。
 
ビタミンB12は、脳からの指令を伝達する神経を、正常に働かせるために必要な栄養素です。
十分にあると、集中力ややる気が高まり、不足すると、神経過敏などの症状が起こりやすくなります。
また、脳や神経と関連が深く、不眠症にも効果があるといわれています。
 
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