脳を老け込ませるダイエットにはご用心

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脳を老け込ませるダイエットにはご用心

 

知り合いからこんな相談を受けたことがあります。

 

「妻が『もっとやせたい、もっと体重を落としたい』っていうんですが、私から見ると、そんなに太っていない気がするんですよね。もう50歳を超えているし、今からそんなにやせなくてもって思うんですが……」

 

 そういって、スマホで奥様の画像を見せてくれたのですが、中肉中背より少しスリムなくらいで、私も「なぜそこまでしてやせたいのだろう?」と思うほどでした。

 

 そこでよくよく話を聞いてみると、太るとメタボリックシンドロームになり、いろんな怖い病気になるのではないかという強迫観念から、「やせないと危ない」と思っているそうなのです。

 

 そこで私は、「太り過ぎもよくないが、やせ過ぎるのはもっと不健康です。まして脳に栄養が行きわたらないと老化が早まり、ボケたようになったり、一気に老け込む可能性があります」と説明し、栄養学についてわかりやすく話をしました。

 

 実は、この奥様のような例は決して少なくなく、日本人のメタボ恐怖症やダイエット信仰には、いつも頭をかかえてしまいます。

 

 基本的に生きる楽しみまで奪うようなダイエットには反対ですし、感情老化の面からいっても「百害あって一利なし」だと思っています。

 

 食べたいものを我慢してダイエットを続けても、長生きできる保証はありませんし、むしろ心身の飢餓感に耐え続けるストレスのほうが、はるかにデメリットが多いでしょう。

 

 いわゆる打倒メタボの考え方はアメリカから輸入されたもので、動脈硬化系の疾患予防のために始まったのですが、実際の効果についてはきちんと実証されていません。

 

 そんな不確実なもののために心身の老化を進める危険があるなら、決して勧められません。

 

 暴飲暴食や偏食をあらためる必要がありますが、メタボ対策に我慢や過度な節制が必要なら、それ自体健康な方法とはいえないでしょう。

 

 日本老年医学界の権威である、医学博士の柴田博先生の著書『長寿の嘘』で、解説文を書かせていただいていますが、本当は「肉食・小太りの人がいちばん長生き」なのです。

同書の内容を少し紹介しましょう。

 

 2006年、アメリカで29年間にわたって追跡した国民健康栄養調査の結果が発表されましたが、これによると一番長生きなのは「太り気味」とされるBMI25~29.9の人で、18.5未満の「やせ型」の死亡率はその2.5倍も高かったのです。

 

 日本でも2009年に同様の研究結果が発表されましたが、40歳時点でもっとも平均寿命が長かったのが、男女ともにBMI25~30の人でした。

 

 逆にもっとも短かったのはBMI18.5未満のやせ型で、アメリカの例と同じです。

 

 寿命最長のBMI25~30は、日本では完全にメタボ体型ですから、これを見ただけで打倒メタボの健康神話にはたくさんの疑問符がつくはずです。

 

 ですから、「メタボは長生きできない。やせたほうが健康だ」という話をそのままうのみにして、厳しいダイエットをするようなまねだけはやめてほしいものです。

 

 もし減量が必要なら、苦痛のない合理的なやり方でやるべきです。

 

 また、意外なことに日本では近年摂取エネルギー(カロリー)が少しずつ減ってきて、2005年以降は終戦翌年を下まわるほどになっているのです。

 

 今も「食べ過ぎ」で「飽食」だと信じている日本人が多いのですが、今や終戦直後と同じくらいしか食べていない国民なのですから、私たちの認識もそろそろ変えたほうがいいのかもしれません。

「感情の老化を防ぐ本 より」

 

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血管力を高める食事は、炭水化物(糖)、塩分を少なめに、HDLコレステロール値を上げる食材を選ぶのが基本です。

これに外せないものが、たんぱく質を十分に摂る食事を心がけることです。

血管はアミノ酸たんぱく質コレステロールなどの脂質によってつくられます。

アミノ酸は普通の食事をしていれば十分にとれるので、動物性たんぱく質を意識しましょう。

たんぱく質はとくに血管中膜の結合を強くします。

動脈壁そのものを強くするので、脳出血などを防ぎます。

 

また、脳の機能にとって神経伝達物質がきわめて重要な存在です。

ドーパミン、GABA、セロトニンがよく知られていますが、アセチルコリンも重要な役割をもつ神経伝達物質のひとつです。

記憶力の減退も、脳の老化を示す典型的な症状ですが、記憶のネットワークを活性化する働きをしているのが、脳の海馬という組織であることはよく知られています。

その海馬には、アセチルコリン系神経が集中しているのです。

脳が老化し、萎縮してしまうアルツハイマーとの関係はとくに深く、アルツハイマーの脳ではアセチルコリンが減少していることから、アセチルコリン不足がアルツハイマーのひとつの原因とも考えられています。

 

アセチルコリンの合成にはコリン、ビタミンB1、ビタミンB12などがかかわっています。

同時にこれらの栄養をとることが、アセチルコリンを増やすことにつながるわけです。

通常、コリンはレシチン(フォスファチジルコリン)のかたちで、食材から摂取されます。

レシチンアセチルコリンの材料になるだけではなく、細胞膜の材料にもなっています。

とくに脳の神経細胞の細胞膜にはたくさん含まれていて、多彩な働きをしています。

血液にのって運ばれる栄養の細胞内へのとり込みや細胞内の老廃物の排出、神経伝達物質の放出や情報ネットワークの形成といった、脳の機能全体に深くかかわっています。

これが、レシチンが「脳の栄養素」と呼ばれるゆえんです。

そのレシチンを多く含んでいる食品の代表が卵黄です。

 

ビタミンB12について?

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