Q.減塩すれば血圧は必ず下がる?
A.人によって効果は違う
高血圧がさまざまな病気の可能性を高めることは、みなさんもご存じでしょう。
特に、心血管疾患が起こりやすくなり、中でも脳卒中と関連があります。
「塩分」が高血圧の原因になることも、よく知られていますね。
厚生労働省が3年ごとに実施している調査によると、平成26年に高血圧で治療を受けていると推測される総患者数は、1010万8000人で、前回の調査に比べて約104万人増加しているそうです。
そのためか、世の中には血圧に関するさまざまな情報が溢れています。
「薬なしで血圧が下がる」「血圧は減塩しなくても下がる」というものも見受けられます。
しかし、本当にそんな簡単に血圧は下がるものなのでしょうか。
実は、塩分によって血圧が変動する(塩分感受性)人と、塩分によって血圧が変動しない(塩分非感受性)人がいるのです。
薬がなくても簡単に血圧が下がる人は、塩分感受性の可能性があります。
さらに、塩分感受性に関係しているとされる遺伝子があるのです。
ある調査によると、日本人は白人に比べてこの遺伝子型が多く、なんと81%の日本人が持っているようなのです。
そのため、日本人は塩分感受性が強い人が多いようです。
実際は、この調査結果よりも少ないといわれていますが、夜間に血圧が下がらないタイプとの関連も指摘されています。
少し古いデータですが、1997年に発表された日本の研究結果では、塩分感受性による高血圧の方が、心血管疾患のリスクになる可能性が高いようなのです。
ここまで聞くと、塩分感受性がない人は、血管の病気とは無縁のような気がしてしまうかもしれません。
しかし、塩分感受性のない人でも、やはり減塩をした方がよさそうです。
ある研究では、40歳前後の正常血圧の男女を、塩分感受性のあるグループと塩分感受性のないグループに分けて、それぞれ塩分が少ない食事(1日1.17グラム)と塩分が高い食事(1日17.55グラム)を7日間ずつとらせました。
すると、どちらのグループも、塩分が高い食事によって、血管内皮機能の低下が認められたのです。
日本人の1日の平均食塩摂取量は10グラム以上です。
しかし、WHOは5グラム未満、日本の高血圧治療ガイドライン2014でも6グラム未満を推奨しています。
現代の日本人の平均的な食事では、加工食品に含まれる塩分が多いため、減塩は少し難しいのが現実です。
しかし、病気になるリスクを減らすためには、できる限り対策をしましょう。
「『血流』をよくする 最高の習慣 より」
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血管力を高める食事は、炭水化物(糖)、塩分を少なめに、HDLコレステロール値を上げる食材を選ぶのが基本です。
これに外せないものが、たんぱく質を十分に摂る食事を心がけることです。
血管はアミノ酸、たんぱく質とコレステロールなどの脂質によってつくられます。
アミノ酸は普通の食事をしていれば十分にとれるので、動物性たんぱく質を意識しましょう。
たんぱく質はとくに血管中膜の結合を強くします。
動脈壁そのものを強くするので、脳出血などを防ぎます。
各栄養素にはそれぞれ役割があり、互いに作用し合って初めて「栄養」として働きます。
多種類の栄養素が機能を発揮し、効率よく利用されるしくみがヒトの体には整っています。
たとえば、糖質がエネルギーに変わるにはビタミンB群などが必要で、ビタミンB群が活性化するには各種のアミノ酸やミネラルが必要、…というように、栄養素を利用するにはほかの栄養素の働きが不可欠です。
よく、ヒトは1人では生きられないといいますが、栄養素もひとつだけでは機能しません。
ビタミンB群とは、体に入った栄養成分をエネルギーに変えるときに不可欠なビタミンの仲間です。
8種類すべてが互いに協力しあって体のエネルギーを生み出す働きに関わっているため、一緒にバランスよく摂ることがとても重要なのです。
また、B群は、体内で起こっている「酸化」の抑制にも間接的に関わっています。
B群は体中の細胞の正常な代謝活動を助ける「補酵素」として、欠かせない存在なのです。
ビタミンB12と葉酸、ビタミンB6の吸収が悪くなると動脈硬化の原因物質 (ホモシステイン・活性酸素)が増えるといわれています。
ビタミンB12について?
https://www.endokoro.com/libra/vitamin01.html
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