第5章 老人脳にならない健康の習慣
よく噛むと、やる気が出てくる
「食べるときは、30回は噛んでから飲み込むように!」
よく言われていることですが、実践するのがなかなか難しいことのひとつかもしれません。
でも、よく噛むことにはさまざまなメリットがあります。
「噛むだけ」でこんなに得をするなら、やらないと損ですね。
そのくらい「よく噛む」ことには効果があります。
▼よく噛むことの効果
〇運動機能や健康機能が向上
〇やる気が出る
〇記憶力が高まる
〇認知症を防げる
〇免疫力を高める
これを見てもわかるように、やる気脳、記憶脳、客観・抑制脳などさまざまなタイプの脳の老化を防いでくれます。
この中で特に注目したいのが、「やる気が出る」というところです。
咀嚼はドーパミン神経を活性化するうえで、とても重要な役割を担っています。
ドーパミンは脳の中の「線条体」という場所から出るのですが、咀嚼をすると、線条体が活性化し、ドーパミンがよく出るようになるのです。
ドーパミンは、やる気を高める作用があるので、よく噛む人ほどやる気が出るわけです。
最近やる気が落ちているという人は、食事を「よく噛むメニュー」にするといいと思います。
〇パンよりごはん
〇脂の多い柔らかい肉より歯ごたえのある赤身肉
〇イカやタコなど、噛みごたえのある食材
食事をつくるのが楽だからという理由で、朝食をパンにしている人も多いと思いますが、やる気を高めるという点で見ると、パンよりもごはん。
もしパンにするなら柔らかいパンではなく、噛みごたえのあるパンの方がおすすめです。
ただ、高齢になると歯が悪くなる人も多いですよね。
そうなると、どうしても噛みごたえのあるものは食べにくくなります。
ただ、軟らかいものをよく噛まずに食べていると脳の老化が進みます。
また、歯の影響で噛むことが苦痛になってくると、食事そのものが楽しくなくなってしまうこともあります。
噛むのが痛い、噛むのがつらい、そんな状態にさらに加齢により胃腸の状態まで悪化してしまうと、食事はもう苦痛タイムになってしまいます。
脳は苦痛を回避する特性があるので、そうなると食事をできるだけ避ける方向に脳が働きます。
脳がそうならないためにも、工夫が必要です。
なにも硬いものを食べないといけないわけではなく、噛む回数を増やすような食べ方をすればいいのです。
たとえば、軟らかい食べ物でもできるだけすぐに飲み込まず、よく噛むようにする。
あとはグミやガムを日常的に利用するという手もあります。
また、食べることを苦痛にしないために、食事にいつもよりちょっと贅沢なものや大好きなお店のメニューを一品だけ取り入れてみる。
ちょっとだけ食卓に贅沢を取り入れると、脳はその快感で思ったより食べられるようになるからです。
「80歳でも脳が老化しない人がやっていること より」
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寒暖の差、生活の変化が激しい毎日は、私たちの身体にも大きなストレスを与えます。
そんな日々が続くと、自律神経は、その変化に対応しきれなくなって、やがて疲れやめまい、不眠、頭痛といった症状が現れてきます。
とくに人間関係の変化は想像以上に心身への影響が大きい。
気分が落ち込んだり一時的にうつ状態になってしまうこともあります。
とはいえ、そのうちに治ってしまうことが多いので、うつ状態でも必ずしも病気とは言えません。
しかし、落ち込みの程度が重い時や、落ち込みが長引いてしまうと、人の意欲は奪われて行動にも影響を及ぼします。
私たちの脳の中で司令塔のような役割をしているセロトニン神経という神経細胞が弱ってきており、軽い不調からうつ病、パニック症候群、さまざまな依存症などを引き起こす原因になっています。
この現象は大人から子どもまで老若男女に広がっています。
セロトニン神経は、日を浴びることや意識した呼吸、簡単な運動をすることなど日常生活に少し工夫を加えることによって鍛えることができます。
からだが疲れやすいのは、エネルギー不足のこともあり、からだにたまった老廃物がうまく代謝されないためでもあります。
ビタミンB群は、エネルギーの供給や老廃物の代謝にはたらいています。
いわば元気の素です。
脳を酷使するときにも、たくさんのビタミンB群が消費されています。
B群は脳の働きに重要な役割を担っているのです。
糖質を分解するB1が不足すると、脳のエネルギーが不足し、とたんに頭が回らない状態になります。
また、脳の神経伝達物質の合成すべての段階に関わっています。
神経の働きを整えたり、傷んだ神経を補修したり、タンパク質をドーパミンやセロトニンといった神経伝達物質に作り替えるなど、「脳力向上」のためにもB群は欠かすことができないのです。
ビタミンB12について?