現代人は圧倒的にミネラル不足
ミネラルは、代謝、調節、成長、身体機能の維持などに関わる大切な栄養素で、体内では合成できず、食べ物から摂取する必要があります。
ミネラルは16種類あり、どれも単体では働かず、カルシウムとマグネシウム、亜鉛と銅など、それぞれの栄養素が作用し合って働いています。
野菜、きのこ、海藻にミネラルが多く含まれていますが、最近の野菜、きのこ、海藻は、昔に比べてミネラルの含有量が少なくなっています。
文部科学省が発表している「日本食品標準成分表」も2015年に改訂され、野菜に含まれるミネラルの数値が、改訂前に比べて大幅に下がりました。
理由は、栽培時に堆肥のかわりに化学肥料を使うようになり、食物連鎖が行われなくなったから。
堆肥のもとになる家畜の便には、ミネラルが豊富に含まれており、堆肥の栄養をたっぷり吸収した野菜にも、ミネラルがたくさん含まれていました。
化学肥料は、堆肥のようにミネラルが豊富ではありませんから、化学肥料で育てることで栄養価が下がってしまったのです。
さらに、味のよさを追求していくうちに、化学肥料自体も以前のものから変化し、いっそう栄養価が落ちています。
いくら栄養バランスを考えて食事をしても、食物そのものに含まれるミネラルの量が減ってしまったので、今までどおりの食事では、必然的にミネラルの不足に陥ってしまいます。
多くの患者さんの血液検査や症状などを見てきた臨床経験から考えると、不足しがちなミネラルは、鉄、マグネシウム、亜鉛です。
そのなかでも、とくに不足しやすく、血液検査でも不足が見逃されやすいのが鉄分。
鉄分とタンパク質は結びつきがとても強く、いつでもセットで働いています。
筋肉、皮膚、骨など身体の組織を作るのはもちろん、ドーパミンやセロトニンなどの脳内神経伝達物質も鉄なしには合成できません。
鉄は、ミネラルのなかでも必要量が多い栄養素です。
とはいえ、鉄分不足だからと鉄分の多い食事だけを食べるのは問題です。
特定の食品ばかり食べていれば、今度はほかの栄養素が足りなくなって、余計にバランスを崩してしまうからです。
何度もいいますが、栄養は単体では働くことはなく、健全な脳と心を作るには、鉄だけでなく、ほかのミネラルだって必要なんです。
同じく不足しがちなマグネシウムは、350以上の酵素の働きを助ける「補酵素」として、もっとも多くの代謝に関わるミネラル。
脳のエネルギーを産生するのにも、ミネラルのなかで一番多く必要です。
マグネシウムは海藻に多く、日本人の海藻の摂取量が年々減っていることに加え、海藻自体のマグネシウム含有量も減ってきているので、こちらも不足しがちです。
マグネシウムの次に脳のエネルギー産生に必要な亜鉛は、250以上の酵素の補酵素としても働きます。
脳の海馬という部位と、中枢神経に多く含まれ、GABAやドーパミンの調整をしています。
亜鉛は、牡蠣に多いですが、牡蠣ばかり食べていられませんし、少量では症状を改善できるほどの必要量にはいたりません。
ストレスが多いと、ミネラルとビタミンの消耗量はさらに増えていきます。
ストレス社会に生きる現代人は、ミネラルをかなり意識して摂取しなければなりません。
私が実践しているのは、鉄と亜鉛のサプリメントを飲み、マグネシウムが豊富な「にがり」をみそ汁や飲み物に入れて飲むこと。
ミネラルをバランスよく摂れるように心がけています。
ミネラルの摂取には、バランスにとくに注意する必要があります。
化学的な性質が似ている「同族元素」と呼ばれるミネラル同士は、体内に多いほうのミネラルが少ないほうのミネラルをはじき出してしまう特性があるからです。
たとえば、カルシウムとマグネシウムは同族元素で、骨に良いからとカルシウムばかりを摂取してマグネシウムを摂らないと、カルシウムがマグネシウムをはじき出してしまいます。
ミネラルのサプリメントを取り入れる場合は、専門家と相談しながら摂取することをおすすめします。
お腹が弱い人は、鉄サプリメントにも注意してください。
鉄分は悪玉菌の栄養にもなるので、ピロリ菌やカンジタなどの悪玉菌が腸内にいると、菌が増殖し、腸内環境がさらに悪くなってしまう可能性があります。
食事で鉄を摂るぶんには平気ですが、お腹が弱い人は、鉄サプリメントよりも、まずは菌活でお腹の調子を整えましょう。
「栄養で人生は変わる より」
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ビタミンB群とは、体に入った栄養成分をエネルギーに変えるときに不可欠なビタミンの仲間です。
B1、B2、B6、B12、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、ビオチンの8種類を総称して「ビタミンB群」と呼んでいます。
8種類すべてが互いに協力しあって体のエネルギーを生み出す働きに関わっているため、一緒にバランスよく摂ることがとても重要なのです。
B群は、体内で起こっている「酸化」の抑制にも間接的に関わっています。
B群は体中の細胞の正常な代謝活動を助ける「補酵素」として、欠かせない存在なのです。
ビタミンB12やB6、葉酸の吸収が悪くなると、ホモシステインという老化物質が増え、動脈硬化を生じることがわかっています。
また、ビタミン欠乏症が原因で、認知症になるケースがあるそうです。
ビタミンの種類は、ビタミンB1、ビタミンB12、葉酸。
東京武蔵野病院 副院長 田中信夫先生によれば、認知症患者の血中ビタミンB12は、通常の人より少ないそうです。
認知症の方に、ビタミンB12を投与すると、ボケ症状、特に感情障害、夜間せん妄、意欲、自発性の障害などの精神障害が軽くなると言われています。
高齢者が理由のはっきりしない神経症状を呈したら、ビタミンB12の欠乏を考えるべきだという学者もいます。
ビタミンB12は胃の内因子という糖たんばくと結合し吸収されますが、年齢とともに胃が小さくなったり胃の状態が悪くなったりして、内因子が
少なくなりビタミンB12の吸収が悪くなってしまうのです。
しかし、ビタミンB12は大量に摂ることで浸透圧の原理による押し込み効果によって胃の内因子と関係なく吸収されることが分かっています。
吸収率を高めるビタミンB12摂取量の目安は1000μg(マイクログラム)以上と考えられています。
さらに、主に動物性食品にしか含まれないというビタミンなので、野菜中心の食生活の人や、ダイエットをしているなど食事の量が少ない人は、ビタミンB12を補った方が良いとされています。
胃の病気、ストレスなどでも不足します。
ビタミンB12について?
http://www.endokoro.com/libra/vitamin01.html
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