第3章 6つのポイントで快眠して認知症リスクを下げる(ポイント4~6)
どうしたら睡眠障害を防いで、認知症リスクを下げられるのでしょうか?
6つのポイント(ポイント4~6)を順番にお伝えしましょう。
4.夕方以降は強い光をできるだけ浴びない
日が落ちて暗くなったら、それ以降は間接照明などをうまく活用しながら、できるだけ強い光を浴びないようにしましょう。
眠りを誘うホルモンの「メラトニン」は、睡眠や食欲を調節する脳内の神経伝達物質「セロトニン」から合成されます。
セロトニンからメラトニンをつくる酵素は、あたりが暗くなるとスイッチが入り、メラトニンの合成を始めます。
ところが、強い光を浴びると酵素のスイッチが切れてしまい、メラトニンの合成にブレーキがかかるのです。
ただし、暗くした部屋でもテレビやスマホ、タブレットなどを見ていると、目に強い光が入り込んできます。
暗闇だと光の刺激化を強く感じるようになり、メラトニンの分泌が減る恐れもあります。
5.カフェイン飲料とお酒をひかえる
コーヒーに含まれるカフェインは、脳に作用して覚醒を促します。
飲んでから数時間効くこともありますから、夕方以降は控えたほうが無難です。
コーヒーの味わいがほしくなったら、カフェインをとり除いた豆を使った「デカフェ」にしましょう。
カフェインはコーヒーだけでなく、紅茶・緑茶・ウーロン茶・コーラ類・栄養ドリンクなどにも含まれています。
パッケージの表示などを見て、カフェインの有無を確かめてみてください。
カフェインには利尿作用もあります。
就寝前にとりすぎると夜中にトイレに起き、中途覚醒の引き金となる恐れがあります。
アルコールにも、カフェインと同じように利尿作用があるため、夜中にトイレに起きて中途覚醒を起こすこともあります。
また、お酒には覚醒作用があります。
飲みすぎて酩酊すると寝入りやすくなりますが、眠りは浅くなり、アミロイドβ(異常たんぱく質)の排泄に有益な、深いノンレム睡眠がとりにくくなります。
深酒、寝酒は控えましょう。
6.眠る約90分前に浴槽入浴をする
浴槽入浴をすると体温が上がります。
体温には、体表の体温である「皮膚体温」と、脳や内臓の体温である「深部体温」があり、深部体温は皮膚体温より2度ほど高いのが普通です。
浴槽入浴をすると、皮膚体温も深部体温も上がります。
ヒトは、皮膚体温が上がって深部体温が下がり、両者の差が小さくなるほど眠気が高まります。
入眠時間の90分ほど前に浴槽入浴で皮膚体温を上げておくと、皮膚体温と深部体温の差が小さくなり、なおかつ一度上がった深部体温が反動で下がるタイミングで寝入りやすくなります。
――以上のような自分でできる対策をしても、睡眠障害が解決しないなら、「睡眠外来」を訪れて診察を受けたうえで、必要ならば睡眠薬(睡眠導入剤)を処方してもらうようにしてください。
昔は“睡眠薬=危険な薬”というイメージがありました。
睡眠薬を大量に飲んで自殺するシーンを描いた映画やドラマがあった影響かもしれません。
昔の睡眠薬には、使い続けると認知症につながるものもありました。
ところが現在の睡眠薬は、昔の睡眠薬とは、まったく別モノです。
交感神経の働きを抑えて興奮した神経を落ち着かせたり、睡眠の質を整えたりする効果のある脳内神経伝達物質「GABA」(γ-アミノ酪酸)の働きを強めるタイプが主流になっており、用法・用量を守れば危険はありません。
※ポイント 快眠の6つのポイントを守り、解決しないなら睡眠外来を受診しましょう
「一生ボケない習慣 より」
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老人の認知症の3割~5割を占めるアルツハイマー病の場合は、脳細胞が萎縮する病気です。
この萎縮を食い止めるためには、脳細胞を生成するためのタンパク(アミロイドβタンパク)合成、核酸(DNA)合成が順調に行われる必要があるのです。
ビタミンB12は、タンパク(アミロイドβタンパク)合成と核酸(DNA)合成の両方に深く関わっています。
ビタミン欠乏症が原因で、認知症になるケースがあるそうです。
ビタミンが欠乏すると、記憶障害、無気力、集中力の低下、妄想、錯乱の症状がみられるようになります。
東京武蔵野病院 副院長 田中信夫先生によれば、認知症患者の血中ビタミンB12は、通常の人より少ないそうです。
認知症の方に、ビタミンB12を投与すると、ボケ症状、特に感情障害、夜間せん妄、意欲、自発性の障害などの精神障害が軽くなるといわれています。
ビタミンの種類は、ビタミンB1、ビタミンB12、葉酸。
ビタミンB12や葉酸をはじめとするビタミンB群は、ミネラル、アミノ酸などの栄養素と協力し合っているため一緒にバランスよく摂ることがとても重要なのです。
現在60歳以上の人の20パーセントでビタミンB12の欠乏が見られということです。
これは歳をとると胃の機能が低下し、内因子の分泌が低下するからです。
長寿のためには、動物性食品を控えた方が良いという事ですが、一方では動物性食品を摂らないことからビタミンB12を摂取できなくなる恐れがでてきます。
また、高齢者が理由のはっきりしない神経症状を呈したら、ビタミンB12の欠乏を考えるべきだという学者もいます。
主に動物性食品にしか含まれないというビタミンなので、野菜中心の食生活の人や、ダイエットをしているなど食事の量が少ない人は、ビタミンB12を補った方が良いとされています。
加齢、胃の病気、ストレスなどでも不足します。
ビタミンB12について?