内臓脂肪に要注意といわれるのはなぜでしょうか?

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内臓脂肪に要注意といわれるのはなぜでしょうか?
◆ 男性は皮下脂肪よりも先に内臓脂肪がたまります。
◆ 日本人は内臓脂肪がたまった段階で生活習慣病を発症します。

脂肪は水にとけず、脂肪細胞の中にたまります。脂肪がたまった脂肪細胞は集団を形成して存在するので、脂肪細胞の集団を「脂肪組織」といいます。脂肪組織のうち、腹腔内の内臓の周囲に存在するのが「内臓脂肪組織」、腕や脚、胴体などの皮下に存在するのが「皮下脂肪組織」となります。

腹腔のスペースには限りがあるので、内臓脂肪はどんなに多くても脂肪全体の10%くらいにしかなりません。しかし、最近ではこの内臓脂肪に注目が集まり、「内臓脂肪イコール悪者」というイメージが定着してきました。

脂肪そのものは体にとって必要不可欠であり、非常に重要な役割を担っています。脂肪細胞はエネルギーの貯蔵庫として働くほか、さまざまな生理活性物質を作り出しています。たとえば、動脈硬化を抑制するアディポネクチンという“善玉”物質や、糖尿病の発症・進行を促すTNF-αという“悪玉”物質なども脂肪細胞から分泌されます。

おもしろいことに、内臓脂肪が多くなるとアディポネクチンの分泌量は減り、一方でTNF-αの分泌量が増え、糖尿病や動脈硬化が起こりやすくなります。また、内臓脂肪が増えると血栓をできやすくする物質や血圧を上げる物質が分泌されるなど身体にさまざまな悪影響を及ぼします。このように内臓脂肪は生活習慣病の基盤になるため悪者扱いされるのです。

内臓脂肪に注意が必要なのは、おもに中高年男性です。というのも、男性の場合、脂肪はまず内臓脂肪からたまり始めるからです(女性は女性ホルモンの働きにより閉経前は内臓脂肪がたまりにくくなっています。)「最近、ちょっと太ったかな」と気づくのは内臓脂肪がたまってお腹が出てきたときでしょう。そのまま太り続ければ、さらに皮下脂肪もたまり、いかにも肥満体という感じになるのですが、日本人はそこまで高度の肥満はあまり見られません。

なぜならば、たいていの日本人男性は内臓脂肪がたまったところで生活習慣病を発症してしまうため、皮下脂肪をためる段階まで肥満が進まないからです。これが欧米人ですと、内臓脂肪に加えて皮下脂肪がたまってから、ようやく病気を発症することになります。内臓脂肪がたまるのは、いわば肥満のほんの初期段階なのですが、日本人はその時点から生活習慣病に注意しなければならない「肥満に弱い」人種だというわけです。これは他のアジア人も同様です。
「栄養と料理 より」

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