食物繊維の特徴とはたらき

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食物繊維の特徴とはたらき
 
食物繊維はからだの構成成分やエネルギー源にならないため、以前は栄養にならない不要なものとされていました。
現在では「人の消化酵素で消化されない食事中の難消化成分の総体」と定義され、栄養素の吸収をゆるやかにしたり有害な物質を排出するなどの作用が認められて、機能性成分として重要視されています。
植物細胞の構成成分を中心に動物性の成分も含めて、水に溶けない「不溶性食物繊維」と水に溶ける「水溶性食物繊維」に分けられます。
天然の食品中に存在するもののほか、食品から抽出した成分に加工を施してより機能を高め、使いやすくしたもの、化学物質を合成したものがあります。
 
≪食物繊維は体内でこんな作用をします≫
 
●口中での咀嚼回数をふやし、唾液の分泌量を増して、満腹感を得やすくする。
●消化管のはたらきを活発にする(粘性のある食物繊維ほど小腸に分泌される膵液と胆汁の液量および酵素量を多くする)
ブドウ糖の吸収速度をゆるやかにし、食後の急速な血糖値の上昇を防ぐ。
コレステロールの吸収を抑制する。
●胆汁酸を吸着し、体外に排泄させる。
●腸内でナトリウムイオンとカリウムイオンの交換反応により、食塩のナトリウムを排泄させる。
●腸管内で栄養素が拡散するのを防ぎ、栄養素の吸収を緩慢にする。
●便をやわらかくしてかさをふやすことで腸の蠕動を活発にし、内容物をすみやかに移動させる。
発がん性物質など腸内の有害物質の排出を促進する。
●腸内の有用菌群をふやし、腸内環境を改善する。
 
≪食物繊維が足りない現在の日本人≫
 
1955年ごろまでの日本人の食生活では、食物繊維の不足は考えられませんでした。
穀類や野菜、豆、いも、海藻などを多くとり、動物性脂肪の摂取は少なかったからです。
ところが、食生活が次第に欧米化し、精製原料でつくった加工食品が増加するにつれて、動物性脂肪の摂取がふえ、穀類や豆、いもなど食物繊維源となる食品の摂取が減って、生活習慣病にかかる人がふえました。
死亡率の上位をがん、心臓病などの生活習慣病が占めるようになり、食物繊維の重要性が強く認識されるようになったのです。
食物繊維は五大栄養素(糖質、タンパク質、脂質、ビタミン、ミネラル)に続く「第六の栄養素」と呼ばれるようになりました。
 
≪便秘解消からがんまで、食物繊維の幅広い効用≫
 
食物繊維が不足するようになって、さまざまな症状や病気を抱える人がふえています。
食物繊維の充分な摂取で改善できるのは、虫歯、肥満、便秘から、腸の疾患(大腸がん、憩室症、虫垂炎など)、その他の生活習慣病(高血圧症、糖尿病、心疾患、高コレステロール血症、コレステロール胆石症、動脈硬化など)です。
食物繊維をとることで、バランスの悪い食品摂取を正常に戻すと考えればよいでしょう。
おとなだけでなく、子どもにもふえている肥満や生活習慣病、虫歯なども、食物繊維の不足が一因と考えられています。
 
≪食物繊維を上手にとるには?≫
 
食物繊維は、穀類、いも、豆、野菜、果実、海藻、きのこなどに多く含まれます。
外皮、殻などを含む食品に多く、精製された食品に少ないのが特徴です。
また、肉、魚、卵など動物性タンパク源にはあまり含まれていません。
食物繊維の生理作用は、種類によって違いがあるので、多種類の食品からとること。
洋風メニューより和風のほうが多くとれます。
特に根菜類や乾物、海藻などをたっぷり使った「おふくろの味」は、食物繊維の宝庫です。
 
摂取量(推定)の推移を見ると、主食となる穀類から摂取が減っているのが目立ちます。
ご飯を玄米や麦入りにかえる、パンは全粒粉やライ麦粉を使ったものを選ぶなど、食物繊維を考えた主食の充実をはかることで、かなりの量がカバーできます。
 
食物繊維が足りているかどうかは、便通が目安になります。
12日に1回、150g程度の排便があり、便がかたくなくやわらかすぎないパナナ状なら、まず大丈夫です。
 
★ 食物繊維で素肌美人になる ★
 
食物繊維を充分に摂取すると肌がきれいになるというデータがあります。
便秘からくる肌トラブルを解消するほか、体内の余分な脂肪を排出して改善するためです。
また、食物繊維摂取後は血中のビタミンC濃度が高まるというデータもあります。
これは腸の吸収機能が改善され、ビタミンCの吸収がよくなるためと考えられています。
「からだに効く栄養成分バイブル より」
 
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筋肉が動くように脳から指令を伝える神経が、正常に働くためには、いくつものビタミンB群の仲間が必要です。
筋肉や神経を動かすエネルギーをつくるのがB1神経伝達物質の生成にはたらくのがB6、そしてB12の役目は、神経細胞内の核酸たんぱく質などを合成したり、修復することにあります。
どのビタミンが不足しても神経は正常に働いてはくれません。
 
ビタミンB12は、脳からの指令を伝達する神経を正常に働かせるために必要な栄養素です。
十分にあると、集中力ややる気が高まり、不足すると神経過敏などの症状が起こりやすくなります。
 
ビタミンB12には、脳の血流をよくするとともに、脳・神経の働きを改善あるいは促進する作用があります。
同時に、動脈硬化の原因となるホモシステイン活性酸素(ふえすぎると体に害を及ぼす非常に不安定な酸素)を除去する働きも持っています。
 
ビタミンB12は、胃の内因子(胃から分泌されるたんぱく質の一種)と結びつくことにより吸収されますが、胃を切除している人などの場合は、胃の内因子なしで吸収されるために 大量のビタミンB12を補給する必要があります。
高齢者で吸収が悪くなっている人も同様です。
ビタミンB12は動物性食品にしか含まれていないので、菜食主義の人も欠乏症が心配です。
 
ビタミンB12は、大量かつ配合によって効果的に働きます。
ビタミンB群はバランス良く摂ることで相乗効果を発揮します。
 
ビタミンB12について